ゴイ人特集第2弾は、空間・環境デザイナーとして活躍する秋篠野 友伽氏にお話を伺いました。
■秋篠野 友伽氏のプロフィール
1970年
広島生まれ
父は飲食店専門のコンサルタント、母は国際的に活躍する空間・環境デザイナー「秋篠野 安生」氏の子として誕生する。
1986年
ノートルダム清心高等学校に入学。
父の飲食店コンサルタント業と母がやっている空間・環境デザイナーという仕事を傍で見て、自然とコンサルタントおよび空間・環境デザインに興味を持ち手伝い始める。
1989年
フェリス女学院大学文学部英文科入学
1992年
大学3年生のとき、本格的に空間・環境デザインの勉強をするため、イギリス、フランスに留学し、現地のいろいろな高級ホテルを見て周る。
1993年
フェリス女学院大学文学部英文科卒業
1996年
1月:札幌にてブライダルデザイン会社 有限会社シナノデコール設立
デザイナー兼代表取締役社長就任
札幌グランドホテルを主に 札幌ロイヤルホテル ロイトン札幌 メルパルク札幌 ホテルポールスター
函館国際ホテル ホテルノースランド(帯広)等で専任デザイナーとして年間1000件以上のブライダルデザインを手がけるとともにブライダルフェアー・ファッションショーなどのイベントプロデューサーとしても活躍企業の記念パーティー、ディナーショーのデザインを手がける
※おもな業務等
ブライダルデザイン / パーティーデザイン / テーブルコーディネートインテリアコーディネート / フラワーデザイン / イメージプランニング
空間デザイン / イベントプロデュース / 店舗デザイン/レッスン・セミナー / ディスプレイ
■お母様の仕事のお手伝いを始めたころは、楽しかったですか?
自宅では毎月3月みもで、4月さくら、5月ききょうと月ごとにパーティーを開き、有名人、著名人の方々をお招きしおもてなしをしていました。
高校生の頃、時にはパーティーの仕込みで3日間学校を休んだことも。
そんなこともありパーティーを楽しむというよりは修行でした。(笑)
本当のところ、父も母も商売人にはしたいと思っていませんでした。
■25歳の頃、テーブルクロスのレンタル会社を始めたのはどういう理由からですか?
知人の紹介で札幌グランドホテルのブライダルプロデュースの依頼を受けたのが最初のキッカケです。
当時、私の顔写真とプロフィールパネルが飾られるほどの盛況でした。
そこから札幌グランドホテルを主に 札幌ロイヤルホテル ロイトン札幌 メルパルク札幌 ホテルポールスター函館国際ホテル ホテルノースランド(帯広)等で専任デザイナーとして、年間1000件以上のブライダルデザインを手がけるとともにブライダルフェアー・ファッションショーなどのイベントプロデューサーとしても活躍企業の記念パーティー、ディナーショーのデザインを手がけました。
また、(株)ロイズコンフェクト プレスパティーのトータルコーディネイトや東京・大阪のウエスティンホテルにてデザインするとともに札幌市内10店舗のショップディスプレイを担当する。
古いホテルでは、全面改装するだけの予算が取れません。そこで、ホテルという空間の中で一番フェイスがあり、予算をかけずに変えれるものはなんだろう?と考えたとき、テーブルだったのです。
そこでそれぞれのホテルのコンセプトや部屋の使用用途に合ったテーブルクロスを変えることで、大変好評を頂くことができました。
■これまでどんな空間・環境デザインを手がけられましたか?
某大手不動産会社より、マンションのエントランスのデザインを依頼されました。当初、私の提案に対して斬新であったため依頼主は、本当に売れますか?と疑心暗鬼でしたが見事完売することができました。
さらに違う物件でマンションの部屋のデザイン依頼があり、当時、流行はダークブラウンと白を基調としたモダンが定番でしたが、私の提案は、入居者対象は年配層が多いことと北海道の冬は長いので、温かみのある北欧モダンのミディアムブラウンを提案しました。また、床はとても重要なんです。それは、常に足の裏で感じるところなので、人間の五感で言えば触覚に該当します。なので徹底的に床の素材にはこだわりました。ところが又も定番から外れた私の提案は依頼主の不動産会社からほんとうに売れるんですか?との返答。しかし、いざ売り出してみるとこれも完売しました。
なぜ、当時の定番を覆した発想のもとデザインを考案したのか?といえば、建築を知る人は男性が多いですが最終決定は購入者である奥様方なので、存分に女性の感性を取り入れたのです。
数々の高級ホテルでのレセプションの空間・環境デザインをさせて頂きました。特に高級ホテルという空間は、有名人、著名人の方々が利用される場所であり、TPOに合わせて自分の演出を楽しむ時間が非常に大事で、食事の際には、きちんとした身だしなみ・マナーが求められます。つまり、どんな人がどんな時間を過ごすか?でその人をデザインする。そういった事をコンシェルジュの方からいろいろと教えて頂きました。その結果、そういった演出を楽しむ方々といい関係作りが出来ると考えています。
韓国大統領のパーティー会場のコーディネイトしました。ところが、各部屋ごとにボディチェックの機械が設置されて、私たちの仕事は花をカットするため、はさみを持ち歩かなければ行かず通るたびにチェックにひっかかりとても大変でした。
中国では、作業というよりは、監督的立場で作業する方々に指示を出していました。ところが、みんな並んでる中で立っていると絶対に何か落ちたものは拾わないで下さい。と忠告をされました。最初何のことかと思ったら、理由を聞いて見ると落ちたものを拾うという行為をすることで、作業員たちが私の指示を一切聞かなくなるということでした。
これも日本との文化の違いなのだと思いました。
こんな面白い依頼もありました。それは、古くなった中学校の改装です。しかも予算はたった10万円。限られた予算で何が出来るのか?そこで考えたのは、デザインプロデュースは私が行い、実際の作業については作業員は雇えないので先生方にご協力を仰ぎ、最初は数名だけでしたが最後にはほとんどの先生方がいい学校にしようと協力して頂く事ができ、子供たちにとってカラフルで明るく楽しい校舎となりました。
■空間・環境デザインを考える際に一番重要視されてることはどんなことですか?
空間があっての人ではなく、人があっての空間だと考えています。なぜそう考えるのか?と申しますと、人生は思い通りにデザインできるんです!
どういった環境に自分が居たいのか?どう思うのか?で空間が変わるんですよ!
つまり、その空間を利用される方々が心地よく快適に過ごし満足頂くことを重要視しています。
空間・環境デザインには、これだ!という答えはありません。
そのため、その空間を利用される方々にとってよりいい空間作りを目指すためにも、よい部分は活用し、悪い部分については次回、改善しそういったトライ&エラーを繰り返すことが重要だと常に考えています。
満足して頂くためには、人間の五感を満足させる必要があります。すなわち視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といった感覚がどれ1つ欠けても満足させることができないため、五感を満足させることが使命と考えています。
■今後、空間・環境デザイナーとしてどんなことをやっていきたいですか?
正直なところ、これがやりたいといったことは考えていません。
おおむね、お互いの思いをサポートしていきたいと思っています。
例えば、その人に合った考え方の提案や環境を変えてあげる。また、それがインテリアだったりコンサルだったり、判断するには「感」でしかありません。
感を高めることで、お客様の五感を満足させれると思います。そのため、いろいろな所に行っていろいろなものを見て、いろいろな人に会っていろいろなことを聞くということが常に大事なことなので、これから先もそれは変わらないと思います。
そういったお互いの思いのサポートをさせて頂き、ゆくゆくクライアントの事業が発展し、クライアントと一緒に笑いたい。
もっといえばクライアントの喜びが自分への喜びとなるように仲間づくりをしていきたいと思っています。
最後に秋篠野 友伽氏の取材を通して一番感じたことは、小さい頃から英才教育を受け世界的に活躍されてるお母様や、有名店の飲食のコンサルタントをされてるお父様という環境の中で、五感を感じるということについてハイレベルなものを見たり感じたり、また一流と呼ばれる方々と接点をもたれた人物だと聞くと、ほとんどの方が非常に遠い存在に感じるところですが、私としては、常にニコニコと笑顔を忘れず気さくな方でとても楽しい取材となった事に感謝したいと思います。
2011年8月18日 秋篠野友伽氏 事務所にて